こんにちは赤ちゃん



「まぁまぁ、またモノが増えましたねぇ〜
奥さん、こんな調子じゃあ今に窒息しちまいますよ。」
リビングに入るなりなり大沢千代があきれた様子でスターシアに言った。
「そうなんですよ。守があれこれ買ってきますの。
まだ生まれてもいない娘のためにね。
今日もよろしくお願いします。」
千代を玄関で出迎え、リビングに戻ってあたりを見渡すと、
やはりすごいことになっているわよね
とスターシアは改めて思った。
ぬいぐるみや絵本、ままごとセットや積み木といったおもちゃ、何種類もの子供服、
そういったもので部屋中あふれかえっていた。


出産を控えたスターシアの地球での生活のサポートのため
守はいわゆる「お手伝いさん」を頼むことにした。
もちろん守もスターシアを全力で支えるつもりではあったが
地球に帰還してから早々軍に復帰し(させられ?)
人手不足な防衛軍の仕事に忙殺され
なかなか彼女を思うように支えきれなくなってきたのと
日常のこまごまとしたあれこれ、妊娠出産にまつまるあれこれ
男ではわからないところもままあり
ならば誰か信用出来る女性に家に来てもらおうということになったのだった。
その役目に白羽の矢がたったのが大沢千代だった。
彼女は守や真田が宇宙戦士訓練学校の寮で暮らしていたころの寮母で
寮生の、時には悩みを聞いたり、時には叱ったり、褒めたり
当時みなから本当の母のように慕われていた人物だった。
本当だったらスターシアの身の回りのことなどは母親を頼るべきところなのだろうが
とうに母を亡くしている守にはそれが出来ない。
そんな守の頭に真っ先に思い浮かんだのが大沢千代だったというわけだった。
その千代がこの話を受け、彼女が初めてスターシアと対面した時開口一番
「まぁ、綺麗な奥様!」
と感心しきりで
「あの守君がねぇ〜。あの守君がねぇ〜」を連発していた。
そんな千代の様子に顔を赤くしてうつむくばかりのスターシアだったが
あれこれ自分の世話をやいてくるくると動く千代に次第に心を開き
今ではすっかり地球でのお母さんといった感じでスターシアは頼りにしているのだった。

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